『あなたは、最後の巨匠といわれる名演奏家に若き日から接する機会を与えられました。あなたは演奏家たちの生き証人であり、その音楽と哲学を後世へ伝える使命があります。あなた自身が持ち合わせる芸術家としての一面と共に、その感性を磨き続け、演奏家たちの良き友でありなさい。』

アルト歌手 伊原直子(東京藝術大学教授)


アーティストピアノサービス チーフコンサートチューナー:古屋博敏

古屋博敏という日本の音楽シーンにおける至宝を雄弁に語る、アーティストとの強力な絆を証しする軌跡の数々。
その軌跡は、古屋をスーパースターとしてのステイタスを確立させ、古屋のステイタスはアーティストピアノサービスをメジャーの地位へと導いた。

ワールドワイドの著名演奏家と調律を介して音楽的対話を深め、自身の音楽(調律)の純粋性に対する保守の姿勢を貫き、”演奏家から尊敬される演奏家”との関係を深めている。
芸術性溢れる古屋の音作りは、数々の大舞台で輝きを放ち続け、アーティストや音楽業界/放送業界/芸能界などからの絶対的信頼感を強めることとなっている。これまでに演奏を支えてきたアーティストは多岐におよび、世界の2大オーケストラ、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団首席コンサートマスター/ウェルナー・ヒンク。カラヤンを支えたベルリンフィルハーモニー管弦楽団首席コンサートマスター/レオン・シュピーラーなどの来日時におけるパートナーとして、現代ヨーロッパにおける巨匠の芸術性に側した美しき音色を作り上げ、彼らの音楽に多大なる貢献をしている。
また、ゲルハルト・オピッツ、シプリアン・カツァリス、ジャン・マルク・ルイサダ、ウラディーミル・アシュケナージ、ラルス・フォークトなど、クラシック音楽界におけるビッグネーム、その他外国人タレントのジャパンツアーをはじめとするスーパーメジャーをサポートし、その類まれな才能は大きな評価を獲得してきた。
国内アーティストにおいては、小澤征爾氏が音楽監督を務める『東京のオペラの森』ピアノサプライヤーとして、チーフコンサートチューナーの重責を担うとともに、カラヤンやロリン・マゼールと舞台を共にしてきた国内最高峰の大アルト歌手、伊原直子氏から自身のピアノに対する姿勢と芸術性に絶賛を受け、巨匠の血統を受け継ぐ伊原氏より音楽性やその思想を脈々と教え込まれている。また、チャイコフスキー国際コンクール声楽部門日本人初優勝の佐藤美枝子、チャイコフスキー国際コンクール第2位の加藤知子、日本を代表するオーボエ奏者/古部賢一(現・新日本フィルハーモニー交響楽団首席オーボエ奏者)、日本音楽コンクール最年少優勝の長原幸太(現・大阪フィルハーモニー交響楽団首席コンサートマスター)、田野倉雅秋(現・広島交響楽団首席コンサート・マスター)、金子鈴太郎(現・大阪シンフォニカー交響楽団首席チェロ奏者)、工藤すみれ(フィリップスレコード所属)、武内俊之(日本音楽コンクール優勝)等、トップアーティストとの仕事を膨大にこなし信頼と友情関係を築いている。
その他、国家行事での抜擢やBtoBにおける信頼も厚く、国際交流基金による天皇拝謁行事、ソニーレコード、ビクターレコード、キングレコード、フォンテック、NHK、日本テレビ、テレビ東京、アサツーディ・ケイ、フジサンケイグループ、東映、文化庁、東京都庁など、日本を代表する企業や官公庁からの依頼を請け重責を担うとともに、守秘義務が発生する大物芸能人や政財界の人々も古屋を直接指名し、百戦錬磨という語句にふさわしい栄光ある偉業を成し遂げている。また、数々のメディアや公演などで『古屋博敏』の名がクレジットされることも付け加えておきたい。

English
古屋が仕事をともにしたアーティスト・企業など


才能は最低条件、知性は絶対条件。世界的なアーティストを相手に互角の感性で渡り合う。

古屋を理解するうえで、もはや調律師という領域で話をし尽くすことは難しい。調律師という領域を大きく逸脱し、一芸術家としてのポジションで彼の話を展開したほうが早いであろう。古屋のピアノに対する感性は、明らかに一調律師からピアノを見るという概念とは違う。あくまで彼はピアノを音楽から見通そうとする。
古屋は言う。「調律が合っているとか、アクションの調整が何mmなのかなんて、本当に小さな問題です。一番大切なことは、我々調律師の仕事が音楽の一端を担っていることを心から歓び、美しい音楽の形成の為には何が必要なのかを総合的かつ対極的に理解していることです。確かに緻密な調整や調律を必要とはしますが、決して数値に置き換えられるものではありません。ピアニストという人間が演奏するわけですから、至って曖昧な世界が存在するわけです。その曖昧さという美学がわかっていないと、演奏家の仕事はできない・・・・要は、美しい音楽を感じ取る力がどこまであるかが最も重要です。」

この古屋の語るピアノ哲学は、天性とも言うべき音楽への直観力を感じさせる。それとともに、美へのあくなき追求と音色への感性は、アーティストたちの心を引き寄せて離さない。例えば、ショパン協会主催でカーネギーホールにてデビューリサイタルを行った今井正氏は、古屋をアーティスト(芸術家)と呼ぶとともに、初めて調律師を真の芸術家と感じたとも言っている。また、海外から来日してくるアーティストたちも、「この調律師を連れて帰りたい」との要望が出るほどに、その卓越した感性は高い評価を獲得している。
現在は、日本全国、世界からの依頼を消化する日々が続いており、体調管理もままならない忙しさである。




アーティストたちの要求こそが、調律師を極限まで鍛え上げる。


小澤征爾氏が音楽監督を務める”東京のオペラの森”
における佐藤美枝子氏のコンサート直前



テレビ東京収録 全国ネットで放映される重責を担う
日本を代表するトップチューナーへと上り詰めた古屋だが、その才能は既に20歳代で開花していた。現代の芸術家たちが10代半ばにして才能が開花していなければ、その後の活躍を期待できないのと同じく、彼は溢れんばかりの才能と天才的な直観力を存分に生かし、凄まじいスピードで成長を遂げ、若くして一流アーティストたちから積極的にコンサートやメジャーレーベルでのレコーディングを引き受けるまでに成長していた。
古屋はこんな思いでいるようだ。「今思えば度胸が良すぎたんでしょうね(笑)。いくら先生方が使ってくださるとはいっても、やはり若すぎた。このころは力が入っていたし、経験も足りなかった・・・・当時はよくピアニストのマネージャーと間違えられたりしました。それくらい若かった。でもその時その時で最善を尽くしていたし、出来るだけのことはしていました。そうはいっても、やはりもう少し経験が必要だったかな・・・・でも不思議なんです、当時録った音源を聴いていると、物凄くピュアで一生懸命さを感じる音色が存在するんです。その思いは今でも忘れていません。」


現在の彼の環境は、ある意味簡単ではない。自身が持ち合わせるタレント性もあいまい、スーパースターとしての地位を手に入れ、周囲からの大きな期待を背に、日々重圧にさらされながらの仕事が続いている。そんな環境の中、今でも昔からお付き合いのあるご家庭のピアノ調律も大切にしている。古屋はこう言う、「一番大切なものは人の心だと思っています。長い友情関係にある人たちや、僕を支持してくださる方々は、みんな大切な宝のような存在。自分を必要だと感じてくださるのであれば、たとえ海外だって伺います。世界的著名アーティストであれ、ピアノを愛する趣味のピアノ弾きであれ、ピアノを習い始めたお子さんであれ、音楽を思う気持ちに変わりはないはず・・・・みんな音楽が好きという共通の概念を共有する仲間ですから」


最高の仕事を追い求め、決して満足することなく自らを研ぎ澄ます日々。完成された調律やピアノの音色など存在しないと断言し、来る日も来る日も存在しないであろう完璧な音色を求め続けている。アーティストたちをピアノ技術の師と仰ぎ、彼らからの要求こそが古屋を駆り立て、極限の感性によりピアノを仕上げていく。
「どこか儚い気持ちになることもあります。だって絶対に存在しないと思っているものを日々追い続けているわけですから・・・・でも自分の仕事に満足してしまったら、きっとその先はないんでしょうね。その時は引退なのかもしれません」
美を追い続ける古屋の目は、いつもどこか憂いがある。それは古屋が若き頃から憧れてきた世界を超越してしまい、すべてを手にした今、更なる課題を自らに課せ、使命感に似た思いでピアノに向かっているからなのかもしれない。




レコーディング後のショット 右から3番目が古屋
このとき収録した楽曲が映画「MONGOL」に採用された

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