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ピアニストとの人間関係で経験を積み上げる





アーティストたちとの友情関係を通して

全てを良い方向性へと傾斜させるには、その起点となる要素が必要となります。
アーティストピアノサービスが情熱のうちに産み出した起点とは、”アーティストたちとの人間関係”でした。高い技術、深い知識、研ぎ澄まされた感性、そして知性。全て必要といえば必要であり、良い調律師の最低限といえば最低限の必需能力です。しかし、わたしたちが大切にしたものは、ピアノに対して最も深い理解力と感性を発揮する、アーティストたちとの友情関係であり、その関係こそがわたしたちを成功へと導いてくれました。
友情関係というほどですから、いわゆるビジネスパートナーやカスタマーに留まることの無い関係であり、本音をアーティストたちから聞く事ができます。例えば通常わたしたちの採用しているアクションの調整数値は、調律師の世界観からすれば常識的でない場合もあります。あまりにシビアを求めるが故の状況を作り出しているかのように映るその調整は、アーティストたちから吸い上げてきた生の声がそのまま注ぎ込まれています。
調律師にとっての常識は、アーティストたちにとっては非常識に感じられることもあり、調律師の常識や先入観のみで調整を施した場合、表現力の鈍さが顕著に現れ、ピアノの弾き手にとってはただのネガティブ要因にしかならない事をわたしたちは教えられてきました。技術者の立場から調整という一点に焦点を合せ、その焦点のみに注意が行き過ぎることで、音楽という要素を取り去らないことが重要であり、トータルでピアノを考えなければなりません。本来こうあるべきという技術者的概念は、ときとして音楽を邪魔する要素にもなりえるわけです。
アーティスト、ピアノ、調律師、お互いが仕事を助け合い、お互いの良い部分をさらに引き出す方向に機能する…これに関しても「成功の起点」はやはり、アーティストと調律師の人間関係に帰結することになると思われます。



経験こそがわたしたちの宝物 全てはアーティストの思いに応えるため

アーティストとの友情関係を築き上げてきたが故の経験。
調律師は、アーティストなくしては語れません。アーティストの感性こそがピアノの指標であり、彼らから教えられる事があまりに多すぎます。ピアノの進化自体、その楽曲と演奏スタイルに影響を多大に受け、それなりに進化してきたのですから。だから、アーティストピアノサービスが取り続けてきたスタイルは決して今風ではなく、むしろピアノが進化の真っ只中で行われていた、ピアノ製作者と演奏家のリレイションシップを再現したようなものなのです。演奏は今でも進化していますし、スタイルも確実に20年前とは変わってきている・・・・わたしたちはその演奏スタイルを研究し、アーティストからの意見を積極的に取り入れ、的確に表現を行えるセッティングを追い求めなくてはならない。それがわたしたちに与えられた使命です。
例えば、一昔前のピアノは鍵盤が重く、その重い重量の鍵盤を弾きこなす指の力こそがピアニストの実力のように言われていました。しかし今は全く違う。端的に言えば'ピアニストが思い通りにコントロールできるためのピアノが求められており、ピアニスト自身のテクニックも格段に上がってきているように思えます。一昔前には人間の手で弾くには限界と思われていた楽曲や演奏スタイルが、いともたやすく演奏されるようになっている。勿論ピアノの性質もピアニストの演奏スタイルに合せていかなければなりません。
一昔前のピアノのセッティングを見ていると、本当に辛いピアノだったと思います(今でも一昔前のセッティングをしてあるピアノを、地方のホールなどで見る機会があります)。鍵盤が重く音も伸びない。ナッハドロック(ジャックが抜けてからの鍵盤深さ)も大きすぎて、ピアニシモの表現などは確実に難しいと思われます。そうなるとピアニストは、ピアノにギリギリの緊張感を与えられ、ほんのちょっとしたミスも許されない状況が続き、聴衆に表現を伝える前に、ピアノとの戦いに疲れてきってしまう。
今わたしたちが考えなければならないピアノとは”いかにピアニストが楽に、演奏に集中できるか”そのためのピアノセッティングを追求する必要があります。
また、ただの大音量ときらびやかな音色を追い続けることも太古の視点とも言うべき存在であり、味と深みを無視した音作りもまた、ピアニストの感性に無理を強いると思われます。勿論必要最低限の音量と音色の鋭さを必要とはしていますが、それが過度になり過ぎると表現力を衰退させる結果となり、決してピアニストに優しいピアノではなくなってしまいます。
ピアノの弾き手に優しいピアノ…などと表現すると、ともすれば腑抜けな楽器に聞こえてしまう危惧がありますが、演奏の各所でピアニストがシビアに要求するパワーと表現力を過不足無く発揮出来る能力…これを「優しさ」と表現するなら、まさにピアニストたちの求める究極の性能は、この「優しさ」であることに間違いないと思われるのです。
多数の経験がわたしたちにピアニストへの理解力を促し、その理解力がピアニストたちとの距離を縮めてくれます。それは、人間関係において最も単純と思われる思考が存在しているだけです。”話のわかる人間にのみ、人はより多くを話す”ということです。


本番前のアーティストたちと共に、
ピアノの音色、音程、調律方法などを
話し合う
レコーディング前に、アーティストの
表現力を最大限生かす形で調整を施す
奏会終了後のひと時を楽しむ
ピアノニストと弊社社員。



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