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ミキシング・マスタリングの考え方

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日々の活動日記Blog

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2018年4月1日 - SPL New Passeq



SPLが今年のNAMM SHOWで発表した新しいイコライザーです。エンドサーである僕には、去年の9月くらいには情報が与えられ、11月には実際にテストする機会がありました。改めてこのテスト映像を見ると、本当に素晴らしい思想を持ったEQであることが分かります。パラメトリックEQでは持ち上がらない独特の低音部、通常のパッシブEQでは存在しない中音部、そしてスーパークリーンな高音部と、マスタリングのかなりの部分をこのPasseeqと既に導入済みのPQで音作りが出来てしまう感があります。このEQを、ステムマスタリングの最終段に噛ませたり、もしくは2Mixを手掛ける折には、一番最初に通すことも考えられるクォリティです。どの位置に噛ませるかで、印象がずいぶんと異なることも予想され、夢膨らんでしまいます。
しかも高音部は35kHzまで伸びており、ハイレゾを意識した動きがマスタリングの世界にも本格的な形で入ってきたと言えます。PQが24kHz、Ironは200kHzまで対応しており、恐らくはPQの場合、人間の聴覚として、変化に対応できる最高音域ということで24kHzで止めているのかと想像しています(SPLの技術からすれば、上を伸ばすことは難しくないはず)。
夏までには導入できればと考えていますので、より可能性の広い仕事ができる環境が整うと言えます。



2018年4月1日 - 改めて素晴らしいと思える機材 elysisa

elysiaマスタリングコンプレッサー・EQ


ココ最近のステムマスタリングで、大活躍をしたelysiaのEQとコンプレッサーです。Hi-Fiでクリーンな音に大感激し、一番最初に導入したハードギアでもあるのですが、その輝きというものが使えば使うほど見つかる機材でもあります。次期導入予定のelysia社のマスタリングEQ、Museqよりもむしろ変化の度合いはこの4バンドのEQが強い傾向にあり、中々持ち上がらない低音や、今一つ垢抜けない感のある中音・高音・最高音を、見事に現代における最先端のHi-Fiサウンドに生まれ変わらせてしまいます。この素晴らしき機能は、ここ1週間ほど行っていたステムマスタリングで、存分に生かされることとなり、マスターEQやサブEQ、バンドコンプレッサーの前段階の機材として、存分にその能力を発揮してくれました。あまりに素晴らしい音と機能に、改めてこのメーカーの考え方や哲学に対しての素晴らしさを感じ取ることが出来ました。日本では殆無名メーカーなのですが、欧米では孤高のスタジオ機材として知られており、機材発で日本の音作りというものを再度考える機会になるかもしれないと感じました。


2018年3月31日 - 成長し続けるピアノ技術とその感性を考える

グランドピアノ


スタジオワークの音作りは、エンジニア側の能力に全面的に依存するところがありますが、ピアノの調整というものは、その楽器自体が成長を続ける為に、正しい形でその方向性を指し示すという要素も持ち合わせています。レコーディングやミキシング・マスタリングなどは、音を操る意味での自由度があまりに広く、楽曲の仕上がりそのものは極端な言い回しをすれば如何ようにでも作り上げられてしまいます。勿論限界点もありますが、多くの場合はかなりの作り込みというものが可能です。一方ピアノは、ピアノとしての音色というカテゴリから外れることはなく、一定の路線から大きく外れることは許されません。しかし、その成長の過程から織り成される、独特の音色の変化というものがあり、その変化を上手く捉え、そして将来の成長を見越して音作りを構築していきます。
アコースティック楽器という特性から、余計に楽器そのものに音色の方向感が依存することとなりますが、その構築を行う際には、音の価値感を構成する強力な哲学を調整する側が持ち合わせている必要があります。ここの部分を、どうも日本人が苦手としていると言うか、欧米で作られる音と異なる根本原因となっている気がします。兎に角数値やピッチが正しいことを善とし、音の創造的領域に侵入することを嫌がる傾向があるように見受けられます。音を重視すると言っても、その重視する方向感が欧米の音にきちんと向いているか否かも重要です。この箇所は現地で、そして絶え間なく西洋音楽の根底に振れている必要があるので、中々日本でその環境を手に入れるのは難しいかもしれません。
最も分かりやすい例としては、西洋人のエンジニアと日本人のエンジニアがミキシングした(別案件)音源を受け取り、マスタリングを施す経験が、自分にとってはその違いを最も感じる瞬間でした。現在のスタジオワークは、オンラインで世界中とつながっているがゆえに、チャンスさえつかめれば世界的な仕事を得ることが可能です。昨日は、ガンズ・アンド・ローゼズのマスタリングエンジニア、Maorと繋がり仲良くなったりと、世界の檜舞台でやり取りすることも可能です。
一方ピアノの場合は、ハードコンテンツとしてのピアノが兎に角大型という点からして、中々グローバル展開というものが難しい感があります。しかし、長期に渡り永続的な付き合いを欧米と行っていれば、必ずその異なる感性というものを感じ取れる瞬間が来るはずです。僕はその感性を信じて、音で繋がった世界とのリレーションシップを重要視してきました。
ピアノは約100年ほど新しい考え方が出てきていないところもあり、保守的に成りながら更には風通しが良くないことも後押しし、進化や新たな試みというものが出てこないように思えます。一方スタジオは、毎シーズンごとに新しい機材が発表され、音のトレンドは常に変わり続けます。外部から入ってくる価値を学ぶこともあれば、自分が世界の舞台で新たに発想する音もあり、世界をリードすることも可能です。ピアノは、この辺りがどうも刺激が弱い産業に思えます。スタジオワーク並みの、アグレッシブな新たな試みがあってもよいのかもしれないと、双方にスキルを磨いてきた人間としては感じるところがあります。
ピアノ自体が成長し続けるのであれば、自らの成長もアグレッシブに上げていく必要性があるのではないでしょうか。



2018年3月31日 - 音響家協会・能楽堂での講演

実際の活動に加えて、最近は講演の機会を頂戴することが増えています。前回の幕張メッセが2月後半で、次回が能楽堂・大講義室にて5月28日にお話をさせて頂きます。幕張メッセ同様、実際に機材を持ち込み、音に対してどうアプローチし、どういう考え方・理解の方法で音を調整していくのかを述べて行きたいと思います。幕張メッセが非常に好評だったとのことで、再度お話を頂戴したのですが、前回は『欧米スタイルのミキシング・マスタリングを紐解く』という題名で、全体像を1時間半の中に詰め込むというスタイルでした。今回はここから更に目線を先へ向け、より具体的に音色をどう判断していくのか?というプロセスそのものに触れてみたいと思います。
こうした講演会でよく聞かれるのが、
『自分仕事内容を、人に盗まれないか?』
というものなのですが、同じ機材プロセスを踏んだとしても、その人ならではの音というもの絶対にありますし、そもそもお見せする手法がその段階ではある一定の完成型を見ていたとしても、次の作品でその手法が通用するか否かわからないという日々を過ごしている身としては、一例を挙げるに過ぎないので、それを盗まれたとしても直ぐに次の手法を編み出すので、自分の経験値からお話できることは出来るだけ表に出していこうと思っています。それに何と言っても、音響家協会の皆さんのお人柄を思うだけで、素晴らしい相乗効果と大きな器で物事を考えてらっしゃる故、中堅の自分としては、与えられたチャンスを活かし切りたいという思いもあります。
ここ最近受注させて頂いた仕事だけでも、1時間で音について話し切ることの出来ない内容になるでしょうから、これから2ヶ月弱の中で何が起こるのかを考えれば、またお話できる内容が更に増えることとなるのは間違いありません。
お時間が合えば、是非いらして下さい。



2018年3月30 - Okテイク

マスタリング・SSL


ここ1週間ほど挑戦してきました、各国からのマスタリング音源がOKテイクを出しつつあります。大変でしたが、大きく勉強する機会にもなりました。今回のアメリカ・ドイツ・日本のクライアントたちは、アビーロードやスターリングにもマスタリングを投げている、ツワモノ揃い。そう易易とOKが出ることがないことは分かっていましたが、それぞれに何十回とやり直しを行いながら、やっと形になってきた感じです。物凄くきつい仕事ですが、世界の第一線で自分の作る音で勝負するというこの感覚は、他のどんな物にも代え難いものがあり、完成へ向けて動き出すときには何にも勝る喜びを感じる瞬間でもあります。精神的にもワールドクラスでタフでなければならなく、余りに多くのNGと厳しい要求に相当に追い詰められますが、一流の人達との真剣勝負でしか身につかない、研ぎ澄まされた感性を更に磨き上げるチャンスでもあります。
そのマスタリングなのに、なぜSSLのデスクが写真として使われているかと言うと、今回は同じ時期に仕事の依頼があった3人から、作業が進むにつれてステムで作業するよう指示がありました。通常は2Mixで請け負うマスタリングも、高度化してくると2Mixの限界が見えてくるので、Submixの音源をパートごとに送ってもらい、より詳細なディテイルで楽曲を仕上げていきます。ハードギアでの音源制作を信条としている身としては、やはり最新鋭のアナログコンソールから出てくる音、またコンプレッサー・EQ共にプラグインでは決して作り上げられない、艷やかで奥深い音色は、最高に迫力ある奥深い音作りを可能とさせてくれると感じています。世界からの要求に沿うにはDAW内のみでの作業や、プラグインから発せられる音作りでは直ぐに限界が見えてしまいます。今回も何度か各箇所でプラグインを用いてみようと試みましたが、音痩せしてしまいどうにも使い物になりませんでした。最終段のリミッターのみプラグインを使用していますが、その他99%はハードギアでの制作という結果で、この1週間ほどの全行程を行っています。なので、SSLのが必要なんですね。elysiaが今回も最高に素晴らしい仕事をしてくれました。Subの音作りは、殆どelysiaで行っています。
OKが出始めて上り詰めていく感覚は、何にも勝る喜びです。



2018年3月29 - 1日マスタリング

マスタリングデスク


今日は1日中マスタリングでした。
初めて取引させて頂くクライアントで、アイスランドからの音源も扱いました。恐らくアイスランド語というのは初めて聴いたのですが、音楽に乗って演奏されていることもあり、何とも神秘的な雰囲気を醸し出していました。音源はオンラインで送り返してありますが、さて結果はどうかな・・・先のアメリカ・ドイツ・日本のクライアントのように、中々OKが出ないこともあるので、そこはクライアントの好みや考え方を僕がしっかりと理解できているか否かで決まります。
音の土の部分にフォーカスを当てて聴くことが出来ているのか?またどの部分をクライアントが重要視しているのかを、今一つ掴みきれないとリテク(やり直し)が非常に多くなる傾向にあります。ちなみにこの1週間で、リテイク数はかなりのものです。双方に負担が大きくなるので、僕の側の能力が求められるところです。早くOKを取らなければ・・・
音は正に無限大に作ることが出来ますから、可能性が大きければ大きいほどに、選択肢も無限です。その無限の可能性に挑むのが、何とも楽しい仕事です。



2018年3月29 - ヨーロッパの音

ステムマスタリング


夜中になりましたが一段落です。
ファイルは送付したので、明日起きた段階でどういう回答が来ているかをチェックし、ファイナルとなるか否かの見極めです。大変ですが、やはりこうした仕事には新たなる境地の開拓や、自らがまだ見たことのない景色というものを感じさせてもらえます。高いハードルを超えるたびに感じることですし、『これで完成』というものが存在しない世界なので、常に新たな発見と見識というものは身に付けさせられます。そして新たなものを得れば、また新たな考え方をする音が出てきますし、僕の側から世界に対してアプローチしたいと思える音を思いついたりと、兎に角休む暇というものを与えてもらえません。息を1つ付けば、直ぐに取り残されてしまう世界なので、第一線で仕事をし続けるのであれば、兎に角走り続けていなければならない世界でもあります。
その走り続けなければならない世界という定義からすると、ヨーロッパメーカーの音作りというものは改めて素晴らしいと再確認させられます。今回の案件でステムマスタリングという手法を用いていますが、各パートごとに振り分けられたセッションをミキシングしながら最終的なマスタリング段まで持ち込むという作業です。この方式は非常に選択肢が広く、こちら側の采配に依存する(信頼されているとも言える)形式を取るので、スキルや使用機材のクォリティが露骨に出るところもあります。そんな中でも、elysiaは最高の仕事をしてきます。本当に素晴らしい。コンプレッサーで太く激しくも、また低音の扱いも存分に楽しませてくれるかと思えば、その下に噛ませているEQも、それはもう現代の音楽に無くてはならないHi-Fiサウンドの典型のような音が直ぐ様作れます。それら作られた音を重ねていき、トータルで纏めるわけですから、重厚かつエレガントでスーパークリーンな最終型を製作可能としてくれることとなります。
こうした音に常に触れることができれば、最先端の思想を基とした基礎的な音作りが可能になるのではないかと思います。ピアノの調律も同じベクトルの上にあると定義しています。膨大な選択肢の中から、緻密に積み上げていくのがスタジオワーク、決められたメソッドの範囲に納めながらも、木質を中心とした天然素材ならではの生命感溢れる音作りがピアノという感じでしょうか。双方に面白い仕事だと感じています。



2018年3月28 - 進展

マスタリング機材


最高難易度の仕事、続いています。
中々OKが取れませんが、引き続きプロデューサーの皆様にもお付き合い頂いています。国別では、ドイツ・アメリカ・そして日本と、バラエティに富むクライアントからOKが中々とれません。こんな少し泣き言のようなことを書くのはどうかと思いますが、何時も自信満々で仕事に臨むことばかりを許されないという一面をお知らせするのも良いかもしれないと考えて記事を書いています。これまで本当に余りあるほどの実績を積んでくることの当社ですが、それでも多くの要望を受けるときには手こずることは多々あります。
少し休憩できたので、次のテイク行ってきます!


2018年3月28 - 最高難易度の仕事

当社の仕事は、難易度の高いものばかりです。その中で鍛えげられ、その緊張の中でしか育たないものが余りにも多くあります。勿論リスクも高いですが、その見返りとして誰もが夢見るような仕事を沢山経験することが出来ます。
そういう前提ですが、現在受けている仕事の中で、3件ほど非常に厳しい要求を受けています。何度やり直してもOKが取れませんし、新たな提案を行うと新たな課題が出てくるという状態を繰り返しています。そろそろ締切も近くなり、何とか現状から脱さなければなりませんが、こうした試練は幾度となく超えてきました。高いハードルを超えるごとに成長し、感性は研ぎ澄まされ新たな可能性を見出して次の作品へと向かっていきます。
さて、これから1件OKテイクを目指しますが、上手く行くか・・・
あとは、仕事への熱意こそが全てを支えてくれます。これまでの経験を生かして、やれるだけのことをやり、作品へよりよい息吹を吹き込みたいと思います。



2018年3月27 - ドイツのTVでインタビューが放映



4月から始まるドイツのヒップホップグループ、DieDenka'zのテレビPVに出演させて頂きました。まさかの僕のインタビューからスタートする映像となっていますが、ヨーロッパの舞台に本格的に躍り出ることが出来た実感と、更なる今後の活動にはずみが付いた出来事でした。
僕が日本でいくら流れてくる音楽、ピアノに対して和風であり、グローバルの価値観では通用していない旨を主張したとしても、こうした実際的な第一線での欧米の舞台で活躍がなければ、裏付けとして説得力がないことでしょう。
彼らとの仕事でも、求められたものは国内での活動や音作りとは全く異なるものがあり、より創造的な仕事ができたと感じています。この後には、夏に向けてアルバム作りが始まり(今回はシングルのリリース)、より卓越した音楽制作を行っていくこととなります。
ヨーロッパの中で最も大国であり、バッハ・ベートーヴェン・ブラームスを生んだ国から、そして無数に存在する世界中のスタジオエンジニアから僕を選んでくれ、感無量以外の何物でもありません。今後の活動に、新たな視野を与えてくれた出来事でした。



2018年3月26 - 個性的なヨーロッパの機材たち

マスタリング・リミター


何故ここまで?と思えるほどに、ヨーロッパから先進性を備えた機材というものが出てきます。今日の夜に活躍したのは、ポーランドのBettermakerというメーカーで、日本には代理店がまだないはずです。既に本国からの公式エンドーサーとして指名されているので、彼らが何を考え何を見通しているのかはある程度分かるのですが、しかし使える機能を本当によくぞここまでというくらいに、詰めて作ってきます。今日活躍した機能の1つに、オーバートーンコントロール、つまりは倍音成分を調整できる機能が付いているのですが、存在は知っていても今一つ実践では使用したことはありませんでした。
今日は様々な要求が楽曲に出てきており、EQの使いまわしももう限界・・・という状況になったおりにこのオーバートーンコントロールを思い出し使ってみると、EQとはまた全く異なるアプローチで驚きの効果を発揮してくれました。言葉で音を説明するのはナンセンスなのですが、兎に角それぞれの機材が各メーカー独自に強力な哲学を持ってして市場参入しているので、使いこなす此方側にも相当なスキルを求められます。しかもそれを実際に使用する折に、素晴らしい成果を挙げてきますので、如何に組み合わせるかを考える時に、相当に精錬されたセンスを求められると感じます。
強力な哲学に触れるというのは、大変勉強になります。



2018年3月25 - Kii Three 5.1chサラウンドシステム

マスタリング用スピーカー


スタジオアップデートのプランも佳境に差し掛かっています。日本にはまだ代理店も見当たらないKii Three ですが、元々はロンドンのアビーロード・スタジオをコンサルティングするTomから、『Berfootとamphionの良いところを取ったようなスピーカーだよ』という紹介を受けて、その存在を知るようになりました。そしてオーストリアのマスタリングエンジニア、Horstが自らのスタジオに導入したことで、彼が絶賛たコメントがFacebookに流れるようになり、そして昨年末にドイツでCEOのクリス宅に呼んで頂き、その音を確かめるに至りました。
音に関しては、間違いなくこのKii Threeにしかできない、とんでもない機材であることには間違いありません。360度場所を問わず6つのスピーカーから無指向性で音が鳴るわけですから、これまでの常識を覆すような、言わばルーズとも表現できるポイントで驚異の音を聴くことが出来ます。僕の仕事の場合は、ピアノ曲を中心としたクラシック音楽を扱うことも多いことから、非常にリアルでレンジの広い、尚且シビアであるスピーカーを求めます。フランスのマスタリングエンジニアであるBenjaminは、一時このKii Threeを導入しすぐに売却してしまいました。理由としては、余りにAnalytisc(分析)的だということで、もっと音楽的な響きをスピーカーに求めていたようです。でも僕の場合は、その分析力こそを求めるところもあり、逆に音楽的すぎる、若しくは独自のカラーの強いスピーカーは好まない方向性にあります。というのは、先ずは自らが非常に色合いの濃い音作りを心情としているところと、加えてアコースティック楽器を積極的に扱う楽曲を得意とする場合、クライアントからの要求も音楽的と言うよりは、マイナス面を如何に減らしていくか?という部分も大切であったりします。要はホール録りなどは、電子的なリバーブなどを用いない反面、意表を突かれるようなエラーが起きることがあり、その原因をクライアントともに探さなければならないという一幕もあったりします。故に、単一的に音楽的であれば素晴らしいとは言い難いものがあり、相互のバランスを保つためには、ハイスペックで高密度な音が鳴ってくれるスピーカーを好む傾向にあります。加えて使用機材が非常に強い音色を持ち合わせており、複数のイコライザーを所有する理由としても、それぞれに音色があり特徴があるがゆえに導入しているので、逆にスピーカーに音色があることでイコライザーの個性をイマイチ理解できないという側面を嫌うところもあります。
これらが総合的な最終判断として、Kii Threeを導入するに至った理由ですが、このモンスタースピーカーを5.1chでサラウンドシステムを組むという打ち合わせになったので、これまた世界が驚愕というシステム作りを考えついたということになります。クリスCEOからエンドースメント契約を打診されたのも、フランスのBenjaminが僕のFacebookに、『何故Kii Threeなんだ?』という意見を言ってきた時に、以上のポジティブな回答を行っていたところ、それを見ていたクリスがエンドースメントを決めてくれました。
2本で1500wですから、そんなモンスターを僕のスタジオで全開で鳴らすことはありえませんが、そのキャパシティから生み出される余裕こそが、今後の音楽制作に活かされていくと感じています。日本のエンジニアたちも興味津々のようなので、お披露目会もそのうち行ってみたいと思います。SPLにしてもKii Theeにしても、そしてelysiaにしても、世界的なメーカーが兎に角世界初の試みは僕で実験するという、何とも面白い立場になりました。エンドーサーとして世界のトレンドを僕のスタジオから発信できるという楽しみもあり、今後の展開で更に深化させた音作りを可能とするシステムを考えていきたいと思います。



2018年3月25日 - 新たなる勉強 ピアノテクニシャンズ・マスターコース

新たな視野がピアノに加わりそうです。
自分の活動は常に世界を見据えて来ましたが、ピアノというジャンルにおいては『輸入』というカテゴリを除いては非常にドメスティックな内容でした。スタジオワークが余りにも世界とのやり取りが多く、その裏側でピアノに対しては今一海外趣向へ舵を切ることができていませんでした。何処かのファクトリーで学んだとか、何処其処のピアノ店で一時留学をしたとかそういう次元ではなく、下から見上げるのではなく、正に当社のスタジオワークのように思い切り文化の中心で勝負してみたいという気持ちは、強く持ち合わせていました。
まあ、ピアノという超大型のハードコンテンツ故に、中々これが本格的な国際的活動というものに制限をかけているのかな・・・とも思っていたのですが、ここ最近で物事が急展開を始めています。
とあるピアノテクニシャンたちのコミュニティに参加したのをきっかけに、スタインウェイ本社でコンサート・アーティスト部にて黄金時代を築いたKen Esheteから、ピアノテクニシャンズ・マスターコースに参加しないかという打診を受けました。これまでにも欧米でピアノテクニシャンとしての研修を受けたことはありましたが、伝説的な人に実際について習うという経験をしたことはなく、これがどれ程今後重要なポイントとして分岐点となるのかを想像できます。実際僕自身の活動としては、バークリーの存在自体に国際的な活動の場を用意してもらったわけではありませんでしたが、そのエネルギーと強力なオープンマインドというものを身に着けさせて貰いました。そして、今の欧米から受注するスタジオワークの仕事が成立するまでになっています。
それと同じようなエネルギーを、今回のピアノテクニシャンズ・マスターコースからも感じることが出来、よりソフトコンテンツ性の強いピアノ事業が可能になることが想像されると共に、日本のピアノ業界に対して、ベンチマークとして全く新しい価値観の創造を提案できるのではないかとも思っています。
例えば、欧米のピアノテクニシャンたちは著名大学機関でピアノ演奏を習った者が多く、加えてバークリー出身の人も何人か知り合いになりました。こういったバックグラウンドを持つ、優秀な人達の創出というものは、現在の日本社会では考えられないほどの厚みある文化であり、今後変化を強く求められるとも言えるでしょう。豊かさの質が異なると共に、今後日本の音楽文化も真に豊かな方向性に移行する時期なのかもしれません。その一手を担っていけるのであれば、これ以上の喜びはありません。



2018年3月24日 - 納品から2年スタインウェイM型スタインウェイ・グランドピアノ



納品から2年経過したスタインウェイピアノのメンテナンスでした。音楽制作にピアノ関連、嬉しいことに多忙を極めています。
今回のスタインウェイはニューヨークのM型で、スタインウェイならではの初期症状がそろそろ落ち着きを見せる頃に差し掛かり、音色はそれはもうニューヨークやボストンで聴くことの出来る逸品へと成長を遂げてくれました。一生懸命にお子さんが練習されたピアノは、かなり音色が荒れていましたが、この荒れるという症状は決してマイナスばかりではありません。上がり切るところまで音色の華やかさを得ることの出来たピアノを、しっとりと落ち着きある音色へと生まれ変わらせることで、音色を構成する根本の部分から楽器が歌っているがゆえに、音楽を分厚く構成することが出来、可能性を極限まで探し求めることも可能となります。
このピアノ、そもそもはウィスコンシンの敏腕調律師ハワード氏に調律・整調・整音を依頼し、レベル4まで引き上げ、半導体を輸入するレベルでDHLにて空輸されたピアノです。ハワード氏はスタインウェイの黄金期を支えた人物で、M&A前に正にスタインウェイの整音を担当していた人でもあります。こういう人がニューヨークやハンブルグにはゴロゴロ居て、彼らから音色の価値を教えてもらうことも可能なわけです。昨今は整音や、そもそもピアノに対しての考え方が全く異なり、やはりスタインウェイは明らかに音が変わったということは何処の国でも話にあがります。そんなスタインウェイの本来の音を知る人に最高レベルまでピアノの音を引き上げてもらい、それを引き継ぐ形で、余り調整を必要としすぎない形で維持できるよう輸送においても気を使っています。
それが輸入・納品後2年という時間を経ることで、より豊かな表現力を得ていくピアノの姿は感慨深いものがあります。
やはり、本国の音は本当に素晴らしい。



2018年3月24日 - ハイレベルな要求

マスタリング機材


マスタリング中です。
幾つかの作品を同時進行していますが、いやー、皆さんからの要求が高く感性を揺さぶられています。物凄く積極的な形で音作りを進めていくのですが、それはもう原音(ミキシングを終えた直後の音源)からは想像もしないような音作りをマスタリングで行っていきます。この手法自体が日本ではマイナーで、エンジニアの感性に全てを委ねて音を構築していくので、それはもう激しいなどという次元ではない変化を音源に与えていきます。
そしてリファレンスとして送られてくる音源の数々も、感動的なまでに高い次元の楽曲が送られてきますし、その上方向性を示される折の指示が適切で、こちら側に求められる感性も極限まで研ぎ澄まされます。こういう自らを磨ける仕事って、本当に素敵だと思います。



2018年3月24日 - SPLからのシグナルフローマスタリング・シグナルフロー


スタジオアップデートにおけるシグナルフローを、ドイツのSPL社がプランニングしてきてくれました。この春に発表されたばかりのマスタリング機材を中心に、彼らの考えられる技術を結集してプランニングが組まれています。その証拠に、この中には先進の技術を用いるSPL社から、更には3機種ものプロトタイプが含まれており、このアップデートで間違いなく世界の中で最も進んだ音を作れるスタジオへと進化するはずです。世界の第一線で、しかもこういう形で彼らと共に真っ白い画用紙からスケッチするように、どういう音を作るか考案できるところまで来ることが出来ました。
年若いときから望んでいた景色であり、何かのプロジェクトで少しばかり海外アーティストと仕事をするとか、ツアーに参加するといった日本国内を基軸とした動きではなく、この流れは完全に国境を超えた視野から形成される世界のトップで繰り広げられる世界観です。日本発で世界の音楽市場で競争するのは、人脈や環境から考えて、既に当社の使命とも言うべき状況にまで至るようになりました。この良い流れをより昇華させて、次のステージへと進んでいきたいと思います。



2018年3月22日 - 15年目のコンプリートピアノ

グランドピアノ


納品から15年目のコンプリートピアノと、半年に一度の再会(定期調律)でした。
15年経過のピアノと言われれば、通常の概念としては少し古びて疲れたピアノという印象かもしれません。しかし私たちのご提供するピアノは、年々調子を上げ長い年月をかけて育て上げられた響板から、15年経過した今現在が最も美しく最高の音色が発せられています。この考え方は、長期的な尺度で物事を推移させるヨーロッパから学んだもので、人間が発声をそう簡単に学べないのと同じく、ピアノも美しい発声をするまでには一定の時間を要するとも言えるかと思います。正に弦を指で触る如く繊細で、尚且非常に表現力に富んだピアノに育て上げることが出来ています。
一定期間内で正しくメンテナンスされている当社ご提供のピアノは、その多くが信じられないほどの高いクォリティを保ち、そして本場欧米ならではの音色を手に入れています。これまでにも様々に述べてきましたが、日本に設置されているピアノというのは気候でも湿気のせいでもなく、音を作る人間の感性、方向性によって輸入ピアノの殆どが和風の発声を教え込まれています。ヨーロッパやアメリカで聴く本場の音には程遠く、どうしても日本を感じさせてしまう感は否めません。
しかしその逆もあるわけで、元々和製の発声をしていたピアノに欧米の音を教え込むことも出来ます。正にそれが今日再会した、15年目のコンプリートピアノから感じられた音色でした。
欧米の音の作り方のプロセスを幾ら勉強しても、恐らくは理解は中々出来るものではありません。数週間・数ヶ月現地で学んでも、方法論を表面的に見ることは出来るかもしれませんが、その奥深い感性というもの自体を感じ取ることは難しいでしょうし、加えて言うならば高貴で気難しい彼らの懐に入ることも容易ではありません。何と言っても、世界に通じる能力や感性があってこそ、欧米人というのは初めて心をひらいてくれるものです。この部分からの構築となれば、ゆうに10年以上の人間関係構築と共に、アカデミックレベルでの語学力も必要とされます。そして、何と言っても彼らから称賛される才能が必要となり、これだけ多くの条件をクリアするとなると、日本に本場欧米の音が定着しないことも頷けます。
是非、一度当社のピアノに触れてみて下さい。



2018年3月21日 - プロトタイプの提案

エンドーサーというのは、非常に多くの情報を得ることのできる立場です。日本では想像もしないような新しい発想で、世界のスタジオはものすごいスピードで進化しています。その進化を支えるのはアーティストやプロデューサーであることは確かなのですが、彼らの意見を吸い上げて次世代の音の素材(機材)を形にするのはメーカーです。そのメーカーに対して、自らが新たな境地や価値を提案することができれば、彼らは欧米人らしくその能力を評価しプロトタイプの提案へと移行していくことが出来ます。
最新鋭のメーカーのプロトタイプと言えば、間違いなく世界最先端技術でしょうし、最先端の価値であることは間違いありません。今日もSPLのプロダクトマネージャーと話し合ううちに、彼らがこれまでに構築してきた考え方とともに、プロトタイプの提案をしてきてくれました。彼らから発せられる公式発表の機材ではない、内々の人間たちだけでテストを行いたいとの文面が添えられていることが多々あります。また、そういった次世代の考え方を持つヨーロッパ人たちを集めて、僕の考えていることを提案してみる旨も伝えてきてくれます。
次世代の音を作るメーカーと、こうして新たなるアイディアを共に構築できるという経験は、まさしくエンドーサーとして彼らと次世代の音を作っていることを実感できます。こういう機会が国内でもあればよいのですが、今の現状としてはスタジオ機材の中核はドイツメーカーの独壇場ですので、中々ドメスティックな環境のみでは難しいと思います。もし最先端の音を求めるのであれば、欧米との関わり合いをディープな形で維持することになります。そして、もっと世界で活躍する日本人のエンドーサーが増えてくれれば良いと思います。
少し話はそれましたが、エンドーサー故に与えられるものは、想像以上に大きなものがあります。僕が最も重きをおくのは、音の世界を通して、世界のトレンドを共に作っているという充実感だと思います。




2018年3月21日 - Sessiondesk ドイツからスケッチ到着

ミキシング・マスタリングデスク


サポート契約を行ったドイツのSessiondeskより、次期導入のデスクについてスケッチが到着しました。デザイン担当であるラルスが、特別に考えてくれたワンオフ物であり、レコーディング・ミキシング・マスタリングスタジオ機能を、一箇所に纏めようという海外趣向のスタジオプランニングであるために、かなり苦戦しここまでたどり着きました。しかも現在構想中のルームに、5.1chのサラウンドシステムを組もうと考えているのですから、それはもうかなりのアイディアと発想の転換がなければ入り切らない機材量になります。
ただ、海外の友人たちを含め、欧米ではこのスタイルがかなり横行していて、オールインワンでのパッケージスタイルで機材を組み上げることで、可能性を最大化する考え方になるかと思います。これで約1年半課題だと思い続けていたスタジオ機能に、新たな進展を見ることが出来るわけで、機材においても着々とエンドース元と話し合いが進んでいます。既に新たな導入機材の選定はほぼ終わっており、世界最先端の機材メーカーと共に、プロトタイプを含む更に先端技術の実験的な目論見が行なわれるため、正に世界をリードするスタジオ作りが可能になるプロジェクトへと昇華させることが出来ました。
『日本に存在している音を、世界レベルまで引き上げたい。また、自らが世界をリードする中堅としての地位を得たい。』
という志は、着々とステップを踏み短期間でここまで育て上げることが出来ました。
このステップを踏んでくることで、想像もしなかった世界に踏み込むことが出来、更には今のステップの次のステージには、また見たことのない景色が待っているのだと思います。こうやって成長を遂げてきましたが、天井を感じることのない欧米とパートナーを組むことで、より一層の進化を遂げられることと思います。



2018年3月20日 - ハーバード・ビジネス・スクール、授業に進展

ハーバードでの授業も進んできました。当初は貸借対照表や損益計算書、そして会社の分析方法など、どちらかというと会計士が行うような業務内容を学んでいましたが、本格的にマーケティングへ授業が進みつつあります。タームが始まったばかりの頃は、自分が苦手な分野でもあり、なんだか気が進まない授業内容が多かったのですが、ここ最近は急速に興味のあることへ授業内容が振られ、やる気はあるのですが難しいですね。。。選択問題くらいでも、余り正解を取ることが出来ない状況です。
今後どのような内容が網羅されていくのか?とても楽しみです。



2018年3月20日 - リファレンス音源

午前中のマスタリングンは、多数のリファレンス音源(参考音源)が送られてきており、多くの楽曲を聴く機会に恵まれました。クライアントからの要求も様々ですが、画一的にレベルは非常に高く、求められるものも最高難易度のものばかりが揃っていましたが、自らを育てる絶好のチャンスでもありました。
音のレベルの高さは勿論ですが、クライアントからの発せられる要求の高さと共に、『これが出来るはず』というディレクションが素晴らしかった。これには正直驚きでした。僕の可能性を判断し、そしてその可能性に対しての識別、その上でのディレクションというものは、こちらが気付きもしない可能性を引き出してくれます。
勿論先方は一流としてのプライドを掛けて仕事をしてきているので、提出する側としても非常に緊張する一瞬ですが、こういう真剣勝負の音作りを繰り返していくことで、これまでには見えなかった新たなフィールドに行き着ける実感があります。数ヶ月前にハリウッドへ納めたお気に入りの音源が、今回行ったマスタリングと比べて随分と聴きおとりするところまで仕上げられました。
その瞬間、若しくは一定期間『良い』と思えたものも、次のレベルアップに自らが飛び込んだときには、過去は随分と違った印象を受けるものだと感じた午前中でした。
素晴らしい音源制作の経験に出会え、非常に嬉しいひとときを過ごすことが出来ました。


2018年3月20日 - マスタリングスタート

マスタリング・イコライザー


春の小雨が降る素敵な午前中、マスタリングスタートです。
今日は修正が中心となりますが、非常に感性の部分を強く押し出したオーダーを頂いています。こうした様々なフィードバックから得られる音作りというのは、常に自らを成長させられると共に新たな視点というものを与えてもくれます。これまでに『これが自らのスタイル』と思い込んでいた部分を打破し、新たな価値観が芽生えることでより一層理想に近づいていくことも出来ます。
スタジオワークは、最新鋭の考え方が常に更新される最先端の仕事です。この最先端の価値創造がピアノの音作りに新たなる視点と深化を促し、ピアノで地道に培われる長期的なアコースティックサウンドの構築が、より一層の精錬された音作りを可能とします。
音に特化したこうした相乗効果は、世界的に見ても唯一無二と言える音の価値を生み出し続けることを可能としています。そして、特に日本においては、本場欧米からの仕事を受注することで、全く異なる日本と欧米の音を、日本に存在しながら直接皆様にご紹介することも可能となっています。欧米から直接スタジワークを本格的に受注する会社は、日本の中で恐らく当社だけでしょう。ハリウッドやニューヨーク、ロスアンゼルスやマイアミ、そしてデュッセルドルフやベルリン、更に最高峰のロンドンをも抑えて受注するには、世界の第一線の舞台で熾烈に競争を繰り広げる必要があり、たからこその景色というものもあります。
それでは、新たなる価値の想像の世界に入っていきたいと思います。
マスタリング・スタートです。



2018年3月19日 - SPL world

マスタリング機材


なんともお茶目なSPLのマスタリング機材を模倣したミニチュアです。
これはSPLのFacebookページから流れてきたものですが(本国エンドーサーなので宣伝目的の写真は使用が自由です)、こういう遊び心と機材の美しさをアピールする感性はやはり素晴らしいと思います。しかもこの一連の機材の並びは、僕が自分のスタジオで導入しようと考えていたフルラインナップで、この並びにはグッと来ます(なんのことか分かりませんよね(笑))。勿論音は素晴らしく、より良い新しい世界観を提供してくれる機材たちです。
早くインストールしたい!そして早くそのコンフィグレーションで音を作りたい!



2018年3月19日 - スタインウェイの成長

スタインウェイピアノ


ピアノというのは成長します。今日数カ月ぶりに再会したスタインウェイは、まさしく素晴らしい成長を遂げていました。これはピアノが生きており、尚且生き生きと表現できる調整が行なわれてから故のもので、この概念を基に整音が施されていなければ不可能な成長仮定とも言えます。
『音が立ってくる』や『鳴ってくる』というような、一定の使用によるハンマーの硬化によりもたらされる音色の変化ではなく、明らかに相対的な楽器としての音色の到達地点とも言うべき姿を映し出してくれます。一定期間見守った楽器ならではの醍醐味でもあり、ピアノを触る側としても大いに学びの多い瞬間でもあります。



2018年3月19日 - マスタリング

マスタリング


国内のレコード会社からの仕事で、春の陽気の中マスタリング中です。
曲も非常にノリがよく、情熱溢れる歌詞に仕事も進みます。国内と海外でマスタリングの方法が異なるか?と聞かれれば、確かに全く異なる手法を用います。僕の手元に来る音源というのは、基本的には海外で制作される音を求められることが前提となっていますから、いつも作業している欧米でのOkayテイクとされる音を作ろうとすると、相当にEQで音作りを根本から求められます。
こちらに送られてくる音源の質が、国内と海外では全く別物故に発生する現象なのですが、これはどちらが良いということではなく、それぞれの価値の中で築き上げられてきてる文化なので、自分としては渡された音源にどう理解を示し、どう触っていくのかであって、それがどういう解釈で作られた音楽にせよ、必ず『向こう側に見える景色』を重要視してOkayテイクを目指します。
昨日はドラスティックに音を触りましたが、クライアントからの反応や如何に・・・
何とも素敵で楽しいひと時です。



2018年3月16日 - SPL Iron

マスタリング・コンプレッサー


SPL本社と、次回の大型アップデートに向けて話し合いを続けています。
その中に、2年前にリリースされたIronというコンプレッサーの導入が決定しており、この機材の解説を少ししてみたいと思います。近年のコンプレッサーやEQの立ち位置というものは、以前行なわれていたような『補正』という概念から全く異なる方向性に動いています。コンプレッサーは『異なる世界観』を実現するための機材であり、EQは楽曲を積極的に構築するための機材として進化してきています。よく日本のレビューで見られる、『クリーンで味付けのない、素直な音がする』という記事は、単に使いこなせていないだけです。というよりも、メーカー側からの明確な意思を吸い上げることが出来ずに、その文化を上手く日本に持ち込めていないとでも言えば良いかもしれません。そもそも欧米の一流メーカーは、それまでとは全く異なる思想・哲学で機材をリリースしてきますから、これまでの常識にとらわれて音に臨めば、撃沈することは間違いありません。
そもそも味付けのないクリーンな音など、あれほど強烈な個性を放つメーカーが作ってくるわけがなく、何かしらの明確なコンセプトなしに大型の投資をして機材をリリースしてくることは考えられません。
そして、その強烈な個性と最先端の思想を盛り込んだのが、このIronということになるかと思います。恐らくは現在最も進んでいる機材であり、これとelysiaのalpha compressorのセットで音に臨めば、大凡の楽曲で最新鋭のクリーンサウンドは出来上がるはずです。これに加えて、Bettermakerのリミッターも用いると、更にHi-Fiになるはずなのですが、場合によってはToo Muchの可能性も否めません。今名前を出したメーカーだけでも相当に先進を行っていますが、具体的に楽音の景色に変化を与えることが直接的に出来るのはこのIronでしょう。
音の通るバイアスを、幾つかの異なる素材で構成することで音色と景色を変えることが出来ます。この変化には正直度肝を抜かれる経験をし、上手く使いこなせれば正に次世代の音に到達できると思われます。面白いのは、SPL本社のプロダクトマネージャーのサーシャ曰く、コンプレッサーでありながら-dBのInputでの使用を推奨しています。これは本社に行った折のエンドースにおけるオーディションで、具体的に彼から示されたIronを使用する上でのお勧めサウンド・メイキングでした。この辺の考え方からして、このコンプレッサーが如何にこまでの機材と異なる路線を行っているのかが伺えます。
ここから先は音を実際に用いてご説明したいところです。将来的には、そんなチュートリアルも日本語版で制作できたら良いな・・・と考えています。



2018年3月15日 - ドイツ Session Deskとサポート契約

マスタリング・デスク


僕とドイツメーカーは本当に相性が良いようで、今回はセッションデスクというスタジオデスクを製造するメーカーから、本国サーポートを貰えることになりました。これでエンドースを含め、ドイツメーカー8社からのバックアップを受けるまでに成長しました。
当初日本メーカーからエンドースを貰いたく孤軍奮闘しましたが、どうにも取ることが出来ずに暗礁に乗り上げたことがあります。悔しい経験でしたが、今となっては駆け出しだったことを懐かしむ余裕が出てきました。それは結局の所実績が全く足りていなかったのですが、それでも自らの地位を確立させようと頑張りました。
そして今や僕のエンドース先は全て、世界を席巻するメーカーから直接の声かけによって成されるまでに成長しました。やはりメーカーの顔としての立ち位置というものは、何にも勝るステータスですし、世界的に公認されるという意味では最も高い地位を約束されることにもなります。単に購入価格で大きくメリットを受けるという以上に、激烈な競争を繰り広げる世界の音楽市場の中で、圧倒的なアドバンテージを取ることが出来るということも意味します。
今回のプロジェクトでは、新たに導入するミキシングセクションのデスクを設計段階から話し合っており、更にスタジオが発展していくこととなります。とても楽しみです。



2018年3月12日 - そして何をすべきか?

3月11日の投稿で、世界における最新のスタジオ環境と課題について述べてみました。
それでは、これら要素を背景に、何を行っていくかが重要となります。目標物のないところに対して、異議を唱えるわけには行きませんし、それに大きく発展性がなくては面白くもありません。今のところの目算として、世界最先端のスタジオを日本に設置することを目先の目標としています。日本が大きく遅れを取っていることは、誰に目にも明らかな状況ですが、それを打破するまでの次の段階を提示できるノウハウ、そして世界からの情報を持ち合わせるスタジオは、恐らくは国内で当社しか無いであろうと感じています。先ず、本国の公式エンドサーという地位は、そう容易く与えられるものではなく、アビーロードに所属するMartinからも、その方法について質問を受けるほどです。また、アメリカやヨーロッパからのクライアントに対して、具体的にサウンドメイクを行うスタジオというと、やはり当社しか聞いたことがありません。
先ずは目先出来ること、そしてステップを踏んでいくことで、日本における音の価値自体も大きく変化してくれることを切に望んでいます。事実、日本の音楽市場は転換期を迎えており、今後市場の伸び率は海外からの受注にかかっていると思います。ドメスティックからグローバルへ、ここまで開かれた市場に対して、内向きである必要は何もありません。
まずはその第一歩を、我々が進んでみようと思います。



2018年3月11日 - 世界最先端のスタジオ環境とは?

マスタリング機材


世界の最先端を行くスタジオ事情と言っても、どれほどの規模で考えれば良いのかという疑問が生まれそうですが、この場では最大級の規模で考えていきたいと思います。世界と言っても、実際のところは極一部の中でのワールドワイドというケースも多いので、今回はアビーロードからスターリング、メトロポリスまでを含めて考えてみたいと思います。今名前の出た3つのスタジオは、特に日本で名前が出ることが多く、エンドースを受ける世界的メーカーたちはアビーロードを最高峰として捉えることが多く、その他は余り話題に出ることがありません。というのも、実際のところ世界市場を抑えようとしたときには、ヨーロッパでそれなりの地位を獲得できれば、アメリカ側は自動的に評価がついてくるところがあり、やはり自分にとってはドイツのSPL社から得られたエンドーサーという地位がアメリカに飛び火し、様々に交渉が行われるようになりましたし、他メーカーも自分に興味を持ってくれ、共にプロモーションを行うようになりました。そして、そのプロモーションからクライアントが付いてくれ、更に世界が広がっていったという経緯があります。アビーロードはイギリスですが、それはやはりビートルズからの流れを汲むところが大きく、現在に至っているような気がします。実際に世界のトレンドを根底から作っているのは何処か?と考える時、メーカーとの結束が強い自分からすれば、それはヨーロッパメーカー主導のもとに行なわれていると感じることは多々ありますし、実際彼らの作ったものにエンジニアが自分の感性をブレンドしていく傾向があり、『こういう傾向』という方向性を機材やメーカーが持ち合わせていたとしても、そこから更に進化したものが出てくれば、興味を持つエンジニアたちが音楽市場にその音を持ち込み、トレンドと呼ばれるものが形成されるわけです。
そして、これまでにも述べてきていますが、その中心地となるのはまさしくドイツのデュッセルドルフであり、先進の考え方を持つメーカーが複数良い関係性を築きながら共存し、より良い音を作り上げています。アメリカが大きな市場を持つが故に、アメリカを中心としたスタジオが先進のように思われがちですが、アビーロード含め考え方はむしろ保守的な感があり、先進性よりも伝統を重んじるという感覚を覚えます。
想像しにくいかもしれませんが、実は最先端はドイツでありオーストリアであると感じています。実際にスタジオに行き聴かされる音は、全く景色の違うものが多いですし、機材メーカーも作ってくる音そのものは、『音色を変える』というよりは『音楽の中に存在する、景色を変える』という方向性へスイッチしています。実際にSPLやelysiaのプロダクトマネージャーから聞かされる言葉としては、View や Servey という単語が用いられることが多く、音の成り立ちを根本から変えることにポイントを置くようになってきていると思います。
現在日本ではこうした情報を聞くことも見ることもありませんが、5年以上経てば恐らくは多少の認識は出てくるのかもしれません。しかし、こうした最先端と言われる音作りにおいて、日本で見える音、聴く音というのは方向感が全く異なり別物という状況である以上、認識を根底から変えない限りは『音の景色に変化を与える』という概念はそう簡単には理解されないことと思っています。
ここ最近も、SPLのサーシャやelysiaのドミニク、Kii Audioのクリス、Bettermakerのマレクなどの各CEOたちと機材の構成においてやり取りを行っていますが、彼らの考えていることは確実に次世代であると共に、これまでの音の価値を根底から覆そうとしています。
世界の最先端は、恐らくこのメーカーたちの息のかかったところ、中央ヨーロッパが中心となっているはずです。実際アメリカからの外注が多く行われるのもこの地域で、ヨーロッパがアメリカに外注を出すというのは考えにくい現象で、これらを総合すると自ずと答えが見えてくるかと思います。





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ミキシング・マスタリング Before & After


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マスタリング Before & After