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グランドピアノ中古・コンプリートピアノ

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コンプリートピアノの歴史History of complete piano

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コンプリートピアノの始まり

中古グランドピアノ コンプリートピアノ

『​ウィーンフィルハーモニー管弦楽団、首席コンサートマスターのウェルナー・ヒンク氏が来日する。その折り、ピアノのない各会場ではアーティストピアノサービスがピアノを用意して欲しい。』​

そんな知らせをプロモーターから受けたのは、15年以上前に遡ります。当時アーティスト達には、基本的にスタインウェイピアノを提供してきており、それ以外は考えられなかった私たちでしたが、この時に出されたオーダーは長期に渡るツアーでの使用でした。繊細なスタインウェイピアノは、長期の移動には向かないことは経験から十分にわかっていましたが、世界を渡り歩くヒンク氏のようなアーティストに対応できるピアノを、当時の私たちは他に知りませんでした。​

演奏中でのトラブルは絶対に避けなければならないけれども、良い音色を知り尽くしているアーティストには、それ相応の楽器が必要となり、私たちは頭を悩ませました。丈夫であり、尚且つ繊細な表現をも可能とする楽器・・・​

そこから飽くなき開発が始まり、文字通り世界中のアーティストにジャンルを問わずピアノを提供するチャンスを得、度重なる修正ポイントを克服してきました。​


開発の過程

グランドピアノ中古ヤマハリハーサル時のショット。この後、厳しい試練が待っていた。 グランドピアノ中古のハンマー初期よりレンナーハンマーの使用を行っていた。現在はドイツへ直接加工も含め発注している。パーツ交換だけでは不十分であり、交換した後に作り上げる音は、全て技術者の感性に頼ることとなる。 グランドピアノ中古のニス響板のニス塗りかえにより、音色は変化する。しかし、どう変化させるかを考慮するには、ノウハウを確立させる必要があった。


上記のような、世界的なアーティストの仕事を受注し、それに対応する為の楽器を用意する必要に迫られた私たちは、当初、響板の状態が良い一昔前の国産のピアノに着目しました。
丈夫さと安定度は群を抜いており、音色にも深い味わいがあります。ただ、その味を如何に西洋音楽の方向性へと持ち込めるかが最大の課題となります。最初は弦とハンマーを交換するところから始めてみました。いわゆる、レスロー弦とレンナーハンマーの仕様です。赤アンダーと呼ばれていた国産向けのレンナーハンマーに始まり、スタインウェイ型も使ってみました。しかし、思うような結果は得られず、響板のニスを塗りかえる工程も行ってみましたが、それでもやはり、アーティストが求める音色は出ておらず、夜も寝れない模索する日々を過ごします。最終着地地点である、世界屈指のアーティストが求める音は、日々の業務から凡その検討は付けることが出来ます。しかし、仕事は入って来るが、それに対応するだけのピアノを有していない。そんな現実と自らの環境とを考えると、ひたすらに開発を行うほかありませんでした。
結局のところ、私たちが探し求めることができた一つの回答としては、
『最良と思えるパーツ交換や、改良を施したとしても、その先にある真の意味で欧米の楽器から発音される音色を作り上げるには、何よりもその哲学を理解することである』
と悟ります。目先のパーツ交換や表面的な音作りというものは、やはり表面的な音の変化や構築しか行うことができません。そして新たなる価値を創出するのであれば、新たなる哲学を自らが強く持てるほどの裏付けが必要であり、それには単に経験や研鑽を積むというレベルではなく、最終目的型を知り、その上に根ざした哲学を更に磨き上がるという、幾重にも及ぶ厚みある思想の構築が必要であると考えるまでに、コンプリートピアノは私たちを鼓舞し、進化は更に深化へと目を向けさせ今日に至っています。
 

そんな悪戦苦闘をしている間にヒンク氏のツアーが始まり、先ずは第1弾として、それなりと思えるピアノを彼のリサイタルへ提供しました。ヒンク氏は

 

『僕のリサイタルで、日本製のピアノを使用するんだ?』

 

と興味を持たれ、リハーサルが開始されました。感想は?

 

『悪くないね(pretty good) 

 

そんな感想が返ってきました。良くもなければ悪くもない、そんな感想が一流のアーティストからもたらされ、当時愕然としたことを思い出します。こうした西洋人の反応というものは、多くの場合無関心であるケースも多く、自らの演奏に集中していたものに対して、何かしらの貢献がピアノ側からもたらされたと認識すれば、それなりの対応であったことは間違いありません。無関心であること以上悲しいこともなく、加えてプロモーターからも

 

『スタインウェイが良かったんじゃない』

 

とそんな声もあり、更なる改良が必要である事を思い知らされます。先の一つの結論にも書きするしましたが、やはり発音部分のパーツを交換するくらいでは、到底世界一流のアーティストたちに対応するだけのピアノには到達できません。次のステップへ進む条件として、ピアノに対して何が出来て、次にどんなチャンスが巡って来るのだろうか・・・次のステージへ向かうべく、挑戦は続きました。


躍進

グランドピアノのヤマハを提供分岐点となった、国際交流基金平成16年度の表彰式。受賞者、秋吉敏子氏へピアノを提供した。 スタインウェイ・グランドピアノを提供
『東京のオペラの森』の公演にて、多数使用された。この折の演奏者は、ソプラノ佐藤美枝子。
グランドピアノ・ヤマハを提供
NHK番組、さんぷんまるの収録へコンプリートピアノを貸し出した。


当時から、アーティストピアノサービスのピアノレンタル部は、多くのコンサートプロモーターやアーティスト達から仕事を受注していました。開発する場、求められる場は多々あり、何処で適切なピアノを使用するかが問われる経験を通し、大凡の判断基準というものを構築してきました。
しかし、新たなる分野であるピアノの開発ともなれば、自らの挑戦する姿勢は保ちつつも、一つ一つ確実にステップを踏む必要もあり、そのバランスを如何に上手く舵を切るかが成長のネックともなっていました。また、開発における具体的な指標というものを掴みつつあり、先ずは自分たち納得の行くピアノというものを、徐々にではありましたが、方向性というものがしっかりとして来た時期でもありました。弦やハンマー・響板ニスの素材を再度見直すとともに、それまでは気にもしていなかった様々なクロス類やペーパー類が音色に対して、大きくニュアンスを変えるまでに影響することを探し当てるなど、それはでとは異なる深化というものを確実に感じつつ、ピアノと向き合う余裕も出てきた時期でもあります。
そして何よりも、アーティスト活動の経験と感性を持ち合わせる人材が当社には多数おり、この開発に置いて全権を握るようになって行きます。このアーティスト主体の考え方というものは、音色の方向性を明確化させました。職人たちがどんなに良いと思えるものを作ったとしても、それは構造的な精密さや作り込みの美しさであり、本来あるべき音色の美しさを追求するものとは一部方向性が異なります。私たちが最も大切にしたものはセンスであり、美しきものを磨け上げる洗練された感性でもありました。
そして2004年度、国際交流基金から依頼を受け天皇陛下拝謁行事に、国産のフルコンサートピアノをベースとしたコンプリートピアノが投入されました。ピアニストは穐吉敏子氏。正に国を代表する事業の1つとして、全身全霊で業務に務めました。穐吉氏からは、
『素晴らしい仕事をありがとう、良いピアノを用意してくれた』
との感想をもらうことができ、ヒンク氏の時とは明らかに異なる感想を得ることができました。

国際交流基金の一件で、今までにない好感触を掴んだわたしたちは、その後、小澤征爾氏が音楽監督を務めた『東京のオペラの森』『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン』などの大きな音楽祭、また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター、レオン・シュピーラー氏のリサイタル、NHKやテレビ朝日・テレビ東京などの番組収録へコンプリートピアノを次々に持込み、確実な実績と経験を積み、そのノウハウを確固たるものにしました。
勿論ウェルナー・ヒンクのコンサートツアーは、開発途上のピアノをその後幾十もの場所で公演が行われましたが、回を重ねるごとに完成度の高さを増し加え、最終的には現在の感性型により近い形でツアーを終えることができました。

結論として、国産の良いピアノを選び、そこから良いとされるパーツへ交換を施すノウハウも必要ですが、それ以上に、それらのパーツを如何にアーティスト目線で仕上げるかが最も重要な要素である事を知るに至りました。
単にパーツを選定し、交換することは誰にでもできることかもしれません。しかし、最も重要な要素は、それら様々に点在するプラスポイントを集約させ、最も効率的な形で楽器の音色を完成形へと持ち込むことです。しかもその完成形は、自らの自己満足たる姿ではなく、一定のアーティストたちから求められる音色という、極めて具体的な指標を掲げ追求し続ける必要があります。
それを実現させるためには、ピアノのみに目が行き過ぎて狭義の理論を積み上げるのではなく、日頃から多くの刺激を、本国である欧米と頻繁な接触を行う業務が重要と言えます。コラムなど様々な場でも書かせていただいていますが、結局の所現在の日本では、本来ある『本国の音』には届いていないケースが殆どです。J-POPと洋楽が大きく異なるように、その音の構成というものは日本と欧米では全く別物として作り上げられます。特に当社のように音楽そのものを制作する部署を持つ会社ですと、その違いというものをより立体的に実感することは多々あります。
音の構築は、最終的には個々が持ち合わせる哲学で決まります。

そして、次のように定義を明確化させるに至っています。良いピアノ選定とは、深い表現力を有し可能性のある楽器を探す行為。パーツ選定は、可能性のある楽器に対して、どの音色に持ち込むかを決め、同時に更なる可能性を探す行為。パーツ交換は、実際にピアノの可能性を広げ、耐用年数を長く保つ行為。そして、最終段階であり、最重要項目でもある、パーツ交換されたピアノへ如何にアーティスト目線で命を吹き込むか。これが、わたしたちが最も長い時間を掛けて探し出した答えでした。良い素材を得たとして、如何にその素材を活かし音色を作り上げるのか?
このフリーハンドで描くような音色作りの世界観は、正に本場欧米で行われる感性で勝負する内容です。その感性は、最も厳しい現場であるコンサートやレコーディングなどからフィードバックされるとともに、アメリカやドイツといった国境を超えた多くの人脈から得られる、豊かなトレーニングの場と情報が私たちを底上げしてくれました。



コンプリートピアノを売って欲しい。。。そんな要望から販売へ。

スタインウェイ・グランドピアノのニス元々は、スタインウェイピアノの響板を補修する為に用いられていたノウハウ。音色が大きく変化する為、コンプリートピアノへも投入された。 グランドピアノ・ヤマハの整音
数々の歴史を刻んできた調律師が、最終調整を施す。
グランドピアノ・バックチェック
コンプリートピアノを構成する為、様々なパーツが交換され、可能性が広げられる。


欧米の音色と、国産ピアノならではの安定度を有したコンプリートピアノは、人気が出ました。実際に演奏をしたアーティスト達から『売って欲しい』という要望が出ましたが、当時は販売する意図で制作を行ってはおらず、あくまで要求を受けたフィールドで使用する事のみを目的としていました。体制そのものが、販売に対応する状況ではなかったというのが実情でした。そこで社内を整え、安定的に供給できる社内構造と、更にはドイツを始めとするパーツメーカーとの提携を行い、常に成長性のある体制を整えました。

コンプリートピアノは、単にパーツを交換した製品ではなく、その背景には多くの時間と労力が注がれた逸品です。一流アーティストたちに提供することで、通常では手に入らない多くのデータとノウハウを構築することで、完成したピアノは特別な一台として出荷されていきます。
そして何よりも大切と感じることは、長期的なスパンでピアノを育て上げ、真の意味での価値を追求することであると考えています。欧米の考える長期スパンとは、現代の日本では考えられないほど長期に及びます。ころころとモデルチェンジを繰り返したり、思想を変更してくることも基本的にはありません。1つの思想、1つの哲学を示した以上は、10年前後は通用する考え方を用いて、10年という歳月に耐え得るだけの製品を作ってくる傾向にあります。
それほどに完成した考え方というものを重視し、革新的な思考を持ちながらも尚、伝統を重んじるというバランス感覚も大切にしています。日本の器楽業界にはあまり無い考え方ですが、私たちとしては、深く根ざした欧米との協力関係、並びに人間関係から、その素晴らしさを知っているがゆえに、日本にもピアノや音楽を通して文化そのものをご紹介をしていきたいと考えています。
コンプリートピアノは、正にこの長期的なスパンに立った目線というものが似合う楽器です。



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