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ブログ・コラム

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マスタリング

アメリカの音とヨーロッパの音


欧米の音というコンセプトで、講演や冊子の文面に意見を述べることが多いですが、それは欧米と日本がかけ離れすぎているが故のもので、厳密にはアメリカとヨーロッパ、更には英語圏と非英語圏で音色というものは大きく異なります。
アメリカのサウンドというと、スカッとした印象を受けるのと同時に、学期をセパレートすることに対しては、余り気を配らない印象があります。どちらかというと、全体の雰囲気でサウンドを構築していく印象があり、全面的に出てくるものはグルーヴ感であったり、曲の示す方向性を追ったサウンドというイメージを受けます。イギリスはアメリカよりもウェットな印象を持ちますが、双方ともに少しヴィンテージ感を漂わせるサウンドを好む傾向にあるように思えます。もっとも機材も全体的に新しくはなく、これまでのヒット曲を制作してきたという自負と共に、そこまで激しい更新を行うという感じもありません。
一部移籍してきたエンジニアたちが、ある程度新しい考え方を持ち込むようですが、それでも保守的な考え方は変わらず、思想が保守的であれば音も保守的というところでしょうか。
これに相反するように、中央ヨーロッパ、例えばドイツ・フランス・オランダ・ベルギー・スイス周辺国というのは、ドイツを中心に新世代の音を追求する傾向にあります。リアリティや各楽器の音圧の形成、そして楽曲そのものの構成すら介入して真新しい音を作っているイメージを持ちます。それ故に、ヨーロッパのスタジオはアメリカから受注することは多々ありますが、ヨーロッパがアメリカに発注するという現象を聞いたことがありません。
分かりやすい例えとして、ヨーロッパに行った折に日本車やアメリカの自動車をどれほど見たでしょうか?殆ど見なかったはずです。大きな産業である自動車でさえも、モノづくりを得意とするヨーロッパの市場へ入り込むのは、大手でさえも困難を極めます。
同じように、音楽の制作を担うのは、その多くがヨーロッパであることが多く、世界的ヒット曲の裏側には、作曲者や編曲者、またスタジオワーク全体でバックアップを行っているというケースが多々見受けられます。その最も良い例がノルウェーであり、ノルウェーはアメリカ・イギリスに次ぐ音楽輸出大国です。あれ程小さな国(人口も少ない)にもかかわらず、ビヨンセやアリシア・キースなどのヒット曲の多くは、ノルウェー人の手によって書かれているものが多いようです。
実際僕が担当しているアメリカ人のクライアントたちも、英語圏の音が世界の最先端からは遅れていることを感じ、僕へ制作を依頼してきているようです。
僕の場合、エンドース元の多くがヨーロッパですので、彼らから才能や感性を認めてもらったのだとすれば、ヨーロッパとの相性は非常に良いことを日々感じています。それは音の価値観においても同じことで、彼らから教えあられること、そして僕から提案することで常に新しいトレンドを自分たちの中で作り続けています。
最後に、アメリカの音作りで上手だと感じさせられるのはマイクです。ShureやTELEFUNKENが現在アメリカ資本ですが、特にTELEFUNKENはドイツで生まれアメリカに資本が渡ったことで、ある種の癖がなくなった印象を受けます。非常に著名なNeumannなどは、元々の設計が古いこともあり、どうしても最先端のサウンドを収録するには向かない傾向があるように思えます。恐らくは、Neumannならではの良さを伝統として活かすつつ、現代で生き延びる戦略をとっているのかと思いますが、どうしても最近のレコーディングからは外れてしまうケースが多々あります。また、先日も書いたEarthworksなどもアメリカ資本で、音の入力を上手く扱うのはアメリカかな・・・と現在思っています。
音の作り方も、国によってかなりカラーが有り、面白い現象を多々見ることがあります。